ART治療での排卵誘発について
ART治療での排卵誘発について
ART治療では、点鼻薬・注射(排卵誘発剤)を使用して卵を育てていきます。
これは質の良い卵をたくさん育てて採卵に望むためです。
通常、月経の始まった日より点鼻薬を使用し、月経3日目より排卵誘発剤(hMG)を連日注射していきます。超音波内診で卵胞の大きさを測定し、十分に発育した状態で採卵を決定します。採卵日の2日前の夜にhCGを注射し、卵は受精ができる最終段階へと成長していきます。

1.点鼻薬について
点鼻薬(GnRH agonist)は,卵巣を刺激する下垂体に作用し、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌を抑制し、卵胞の発育を一時的に抑制します。また排卵のスイッチとなるLHサージも抑えます。ARTで点鼻薬を使用する目的は以下の2つがあります。
1.均一に卵胞が育つように下垂体からのFSHを抑制する。
2.採卵前に自然排卵しないよう、LHサージを抑制する。
投与開始期によってShort法・Ultra short法・Long法などの種類があります。

2.注射(hMG)について
通常の排卵では、下垂体からのFSHの作用により10数個の小さな卵胞の中から1個が選択され、発育し排卵しますが、ART治療では
できるだけ多くの卵胞を育てていくために月経3日目より基本的に毎日hMGを注射します。その注射の量などは年齢・治療歴などで、変わることがあります。
その発育状況を超音波検査で確認し、hMGの投与量を調整してきます。


<排卵誘発法の比較>
Short法 Ultra short法 Long法 Minimal stimulation法 Antagonist法
方法 点鼻薬を月経初日、hMG注射を月経3日目より開始 点鼻薬とhMG注射を月経3日目より開始 月経開始前より点鼻薬を3日目よりhMG注射を開始 点鼻薬やantagonistを使用せず、内服薬のクロミッドやhMG注射で卵胞を育てる クロミッドや、hMG注射で卵胞を育て、採卵直前に排卵防止目的でantagonistを数日注射
対象となる方 ・Short法で採卵数の少ない方 ・Short法で排卵した方

・単一卵胞発育になる方
・採卵数が多くても質の悪い方、採卵数の少ない方
 
「当院での基本2」
・採卵数が多くても質の悪い方

・Short法などで多量の排卵誘発剤を使用しても採卵数の少ない方
長所 ・排卵誘発剤の投与量が比較的少ない

・安定した妊娠成績
・排卵誘発剤の投与量が比較的少ない

・採卵数が多くなる可能性
・採卵前に排卵することは少ない ・採卵数は基本的に2〜3個だが、質の良い卵が採取できる可能性がある

・卵巣の負担が少なく毎月採卵が可能
・採卵数は少ないが比較的質のよい卵が採取できる可能性がある

・卵巣の負担が少なく毎月採卵が可能
短所 極まれに採卵前に排卵することがある

・極まれに単一卵胞発育の場合がある
・まれに採卵前に排卵することがある

・まれに単一卵胞発育の場合がある
・排卵誘発剤の投与量が多く必要

・卵巣の負荷が大きく採卵数が少なくなることがある
・卵の発育状況により、採卵前の排卵終了や、急な採卵決定がある

・採卵前のホルモン状態の把握が必要なため、採決回数が増える
・採卵前に排卵する可能性がやや高い

・採卵前のホルモン状態の把握が必要なため採血回数が増える
採卵数
卵の質
キャンセル率
注射の料金
OHSS
急な採卵決定