卵子凍結(社会的適応)

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なぜ「今」、なんのために

近年、日本では、晩婚化・少子化にともない、将来にわたる人口減少が社会的な問題となっています。

労働人口として20から30歳代の女性の社会的な需要が高まる一方、この年代は性成熟期にあたり、妊娠・出産にも最も適した時期でもあります。女性の就労によって、妊娠・出産時期には高齢化が起こり、日本産婦人科学会生殖内分泌委員会の報告では、加齢にともなう妊孕性の低下(妊娠率低下、流産率上昇)が報告されています。

また、当院では悪性腫瘍の患者さんに対して、抗がん剤や放射線などの治療を開始する前に「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)の凍結保存」を行い、卵をがん治療のダメージから守ることで、のちに妊娠され、無事に出産された症例を経験したため、論文で報告も行いました。

以上のような社会的な状況とがん生殖の実績をふまえて、

  • 加齢による妊孕性の低下の回避
  • 妊娠・出産できる未来の温存

を目的として「社会的適応による卵子凍結(未受精卵子の採取・凍結・保存)」、いわゆる卵子凍結(社会的適応)を実施することとしました。

社会的適応卵子凍結ご希望の患者様

胚移植時の年齢を考慮して、39歳までの方を対象とさせていただいております。
必ずお電話にて初診のご予約をお取りください。

  • 代表:092-735-6655
  1. 説明のみ希望(卵子凍結をするか迷っている、など)
  2. 採卵希望(他院で情報収集済み、卵子凍結すると決めている、(1) 済み、など)
  • (1) のご予約は
    月曜日・火曜日・水曜日:9:00~、11:00~ 各1名
    所要時間は30分程度です。
    相談料として1,650円(税込)いただきます。
  • (2) のご予約は
    予約枠に変動がございますので、お電話された際にご確認ください。
    受診までに下記『社会的適応卵子凍結予診表』をご記入の上ご持参ください。

    社会的適応卵子凍結予診表 

  • (1) (2) ともに、来院前に必ず下記より日本産科婦人科学会の「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ」と「ART治療説明会動画」をご視聴ください。

    >> ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ

    >> ART治療説明会の詳細はこちら

卵子凍結は、このような治療です

対象

卵子凍結(社会的適応)は、加齢により卵巣機能の低下が予想され、本件を施行することが妊孕性の温存になると判断された、下記のような方が対象となります。

  • 理想とする結婚相手に、なかなか巡り会えていない方
  • しばらくの間、仕事を優先したい、もしくは優先せざるを得ない状況にある方
  • 親族の介護などで、今すぐの妊娠・出産が難しい状況にある方

胚移植時の年齢を考慮して、39歳までの方を対象とさせていただいております。

卵巣剌激・採卵

自然に育つ卵子を採取する方法もありますが、確実に卵子を採取するため、排卵誘発剤を使って卵巣刺激を行い、いくつかの卵胞を育てて採卵にのぞみます。これにより、1回で複数個の卵子を採取することができます。成熟した卵子は、超音波画像で卵巣を確認しながら、腟の壁越しに卵巣内の卵胞を針で穿刺し、卵胞液ごと吸引・回収します。

卵子の凍結保存

妊娠を希望する時期まで、卵子(未受精卵子)を凍結保存しておくことにより、妊孕性を温存することができます。未受精卵の凍結保存技術が進歩し、半永久的に卵子の保存が可能となりました。
採卵により回収された卵子は、Vitrification法 (超急速ガラス化法)を用いて凍結し、液体窒素中に保管されます。この方法で凍結した卵子の融解後の生存率は、80~90%といわれています。

融解後の顕微授精と胚移植

妊娠を希望された段階で凍結しておいた卵子を融解して顕微授精を行い、 得られた受精卵(胚)を培養して胚移植することになります。
凍結卵子は、下記の条件により使用されます。

  1. 婚姻などの使用条件が整っていること。
  2. 患者さんが、凍結卵子を使用して児を得ることを希望していること。
  3. 凍結卵子の使用にあたっては、日本産科婦人科学会 「体外受精・胚移植」の会告が適用されます。

よく検討していただくために

予想されるベネフィット

卵子を採取、凍結保存することにより、加齢による妊孕性の低下を回避し、将来、お子さんを得られる可能性があります。

予想されるリスク

  1. 卵巣刺激により、まれに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症することがあります。
  2. 採卵の際に、出血が起こる場合があります。
  3. 卵巣を穿刺しても、正常な卵子が採れない場合があります。
  4. 凍結された卵子が、融解後に死滅、変性している場合があります。
  5. 凍結された卵子が、融解後に生存していても、その後の顕微授精、体外培養の過程で死滅、変性し、移植できない場合がある。
  6. 凍結した卵子から発育した胚を移植しても、妊娠できない場合があります。
  7. 当院における凍結胚移植の妊娠率は、32.0~43.8%であり限界があります。そのため、多くの卵子を保存する方が有利です。
  8. 排卵誘発剤投与から採卵まで2週間程の時間を要します。

妊娠の可能性と安全性

当院において、新鮮卵子で顕微授精(ICSI)を行った場合、正常受精率は84.8%、受精卵の分割率は98.4%です。 一般不妊患者さんにおける凍結未受精卵子の生存率は約80~90%、受精率は約70%、胚移植後の妊娠率は約25~35%と報告されています。また、2016年までに報告された赤ちゃんの出生数は約90人です。

費用

凍結保存に要する費用は、下記の表のとおりです(税込)。
排卵誘発~卵子採取に要する費用は、当院で規定する私費診療報酬をお支払いください。

  卵子凍結保存 胚凍結保存
術前検査 約33,000円 約33,000円
排卵誘発
(ホルモン検査含む)
11,000~55,000円 11,000~55,000円
採卵料
(麻酔料含む)
132,000円 132,000円
精子調整料 33,000円
胚培養料 99,000円
顕微授精料 88,000円
胚凍結保存料(1年) 77,000円 77,000円
合計 約253,000~297,000円 約473,000~517,000円
胚凍結延長料(1年) 44,000円 44,000円

ご予約方法

診療スケジュール
Schedule

完全予約制・初診は平日のみ

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