着床前スクリーニング検査(PGT-A)

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女性の加齢と妊娠率の低下

グラフ1:夫の精子数別の妊娠率(1回の採卵での妊娠)

グラフ1で示すように、男性不妊症の場合、当クリニックは運動精子の数によって治療法を変えていますが、その重症度(治療法)による妊娠率は大きな違いはありません。ところが、横軸の奥様の年齢層が上がるにつれて妊娠率が落ちていくことがおわかりいただけると思います。
30歳代以上の女性では、加齢とともに受精卵(胚)の染色体異常の率が上がっていき、その結果として妊娠率が低下し、流産率が上昇することが知られています。

胚の染色体異常と着床前スクリーニング検査

女性にとって辛い流産を避けるために、日本国内でも胚の染色体数を調べる着床前スクリーニング検査(PGT-A)の共同研究が始まりました。ヨーロッパ諸国・米国では、すでに数年前から行われている検査です。日本国内で着床前診断研究に参加するためには、日本産科婦人科学会の施設認定が必要です。当クリニックは、2019年12月に日本産科婦人科学会の研究開始の許可を受け、2020年2月から着床前診断を開始しております。着床前スクリーニング検査には、胚培養士の胚を傷つけない確かな技術が必要です。長年の顕微授精の技術経験を発揮して、確実な検査を行っていきます。

染色体異常の種類

染色体異常は、数の異常と構造の異常に大きく分類されます。

本数の異常

ヒトの染色体は、2本ずつの常染色体が22対で計44本、そして性染色体2本(Xが2本のXXなら女児、XとYが1本ずつのXYなら男児)の合計46本からなっています。数の異常には、3本になってしまうトリソミー(trisomy)、1本になってしまうモノソミー(monosomy)などあげられます。

図1:染色体の数的異常

構造の異常

構造の異常は、染色体に切断が起こって構造が一部変化した状態で、染色体全体として過不足が生じていない均衡型相互転座と、過不足が生じている不均衡型相互転座があげられます。

図2:染色体の構造的異常

受精卵の染色体に数的、構造的異常が起こると、妊娠に至らなかったり、妊娠しても流産や死産になったりする可能性が高くなります。

PGT-Aとは、どんな検査?

着床前スクリーニング検査(PGT-A/PGT for anneuploidy)とは、図3のように胚盤胞から、将来、絨毛膜になる細胞(TE)を採取し、DNAを増幅して、次世代シクエンサー(NGS)で解析し、染色体の本数に異常がないかどうかを調べる検査です。

図3:細胞採取(Blastcyst Biopsy)

PGT-Aの流れ

  1. 採卵5、6日目の胚盤胞からTEの5個の細胞採取(Blastcyst Biopsy)
    将来、赤ちゃんになるICM(内細胞塊)ではなく、絨毛膜(やがて胎盤になる)になるTE(栄養外胚葉)を採取。TEは、赤ちゃんの染色体を反映しているため、診断率は高い(現在の主流)
  2. 細胞を採取した後の胚盤胞を凍結保存する
    解析結果が出るまでは、胚移植ができませんので、いったん凍結保存を行います。
  3. 採取した細胞のDNAを増幅させます
  4. 次世代シークエンサー(NGS)で解析を行います

染色体を量で判定し、それぞれの常染色体が2倍、つまりに2本ずつ対になっているか、性染色体の量に問題がないかどうかを判定します。
従来行われていたG-Band解析法は、図4に示すような染色体の写真を撮り、並べて異常の有無を判定していましたが、次世代シクエンサー(NGS)による解析結果は、染色体の量をグラフ化して表現します。図5の上段は染色体異常なしの胚盤胞ですが、下段は4か所で染色体の数の異常が見られます。

図4:G-Band染色解析法(一般的な染色体検査の表示法)

※緑の数字は染色体番号です。

図5:次世代シークエンス解析法による解析結果

女性の年齢別に見た染色体異常の出現頻度は、グラフ2に示すように35歳から上昇し始め、37歳から出現率がさらに急角度で上昇していきます。染色体異常胚の移植は、流産や着床不全(妊娠しない)原因になります。

※「今すぐは妊娠できない状況だけれども、いずれは!」と考えていた方で、加齢による染色体異常胚の出現率の上昇が気になるという方は、不妊検査は必要ありませんので、当クリニックの卵子凍結勉強会に参加してみてください。

グラフ2:女性年齢別に見た染色体の数的異常出現頻度

PGT-Aで期待できること

PGT-Aの解析結果を受けて、染色体の数的異常を除外することで、

  • 妊娠率(着床率)の上昇
  • 流産率の低下
  • 数的異常の染色体異常妊娠の減少
  • ARTの周期あたりの生児獲得率の向上

などが期待できます。

各種書類

詳しくは以下の資料をお読みいただき、不明な点は受診時に担当医にご相談ください。

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