卵子・胚の評価

初期胚の独自評価法で初期胚移植でも高い妊娠率。
卵子の質を紡錘体の大きさで評価する試みも

卵子および胚の質を評価する方法の開発は、当クリニックが最も力を注いでいることの一つです。卵子の評価、胚の評価ともに当クリニック独自の高精度な評価方法を構築しています。

胚の評価

初期胚の評価

当クリニックでは、発育速度と分割形態を組み合わせた独自のアルゴリズムで、初期胚の質を評価しています。このアルゴリズムは、20年以上にわたる研究の結果から構築されたものです。以下に、初期胚評価方法の特徴である2つのポイントを解説します。

第一卵割速度の評価

「第一卵割速度が早い胚を移植すると妊娠率が高くなる」という報告が、1997年に世界で初めて報告されました。現在では、胚の質を評価する指標として有用であることが明らかになっていますが、当クリニックでは、この指標の有用性に関する研究を2001年から開始。2003年には、日本で最初に第一卵割速度の有用性を論文発表しました(日本受精着床学会誌2003)。

第一卵割形態の評価

通常、胚発育は1つの細胞が2つに分割し細胞が倍々に増えていきますが、中には1つの細胞から3つ以上の細胞に分かれてしまうことがあります。このような第一卵割形態を示した胚の胚盤胞への発育は不良となることが2012年に海外の施設から報告されました。
当クリニックでは、2001年から第一卵割に関する研究を進めていましたので2009年には第一卵割異常胚に着目し研究を開始しました。そして、2010年には日本で初めて第一卵割異常胚の胚発育が不良であることを各学会で発表し、2017年には第一卵割異常胚の詳細な胚発育に関して論文発表しました(日本受精着床学会誌2017)。

この2つのポイントに、採卵から2日目(Day2)の形態評価を加えて、胚の質を評価しています。この評価方法は、すべての胚を18の群に詳細に分類し評価することができます。

当クリニック独自の初期胚評価方法と胚盤胞への発育率

当クリニック独自の初期胚の評価法

胚盤胞への発育率

さらに、それぞれの胚の胚盤胞への発育率から5つのグレードに分類しまして、グレード1の胚では、約90%が胚盤胞へ発育します。

当クリニック独自の初期胚評価法を用いた胚盤胞への発育率

以上のように当クリニックでは、胚発育の初期の段階で詳細に胚の質を評価することができるため、胚盤胞移植にこだわることなく初期胚での胚移植でも高い妊娠率を得ることができます。

胚盤胞の評価

当クリニックでも、多くの施設で一般的に採用されていますGardner(ガードナー)分類を使用しています。

ガードナー分類

しかし、当クリニックでは胚の質を独自のアルゴリズムを用いて総合的に評価していますので、胚盤胞での評価が高くても、初期胚時の評価が低いと総合評価も低くなります。反対に胚盤胞の評価が低くても初期胚での評価が高ければ総合評価は高くなります。実際に当クリニックの研究の結果、初期胚時の評価が高い胚は、胚盤胞の評価が低くても高い妊娠率を得ています

初期胚時の評価を加味した胚盤胞移植後の妊娠率

卵子の評価

卵子の質は、受精後の胚の質に直接反映しますので卵子の質を評価する方法の確立はとても重要です。しかし、卵子の質を直接評価することは難しく、現状においても未だ確立されていません。
当クリニックでは、2008年から成熟卵子であるMII卵子の紡錘体に着目して研究してきました。
紡錘体とは、細胞分裂の際に染色体を各細胞へ均等に分配する重要な役割を担う細胞内の構造です。この紡錘体形態の特徴と受精する能力や胚盤胞へ発育する能力の関連性を研究しています。

紡錘体の大きさを測定するOosight Imaging System

当クリニックでの研究の結果、MII卵子の紡錘体断面積がある一定範囲の卵子において受精する能力や胚盤胞へ発育する能力、さらには移植後の妊娠率も高いことが分かりました。卵子の紡錘体の大きさを測定するためにはOosight Imaging Systemという特殊な装置が必要ですが、当クリニックではこの装置を導入し、卵子の質を紡錘体の大きさで評価しています。この評価方法は、当クリニック独自の評価方法で2018年に論文として発表しました(Reproductive Medicine and Biology 2018)。

MII卵子の紡錘体断面積と胚発育および移植後の妊娠率

正常受精率

胚盤胞への発育率

臨床妊娠率

診療スケジュール
Schedule

完全予約制・初診は平日のみ

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