特殊技術

1個でも多くの受精卵(胚)を得て、
妊娠の可能性を高めるため、私たちは手を尽くします

卵子活性化

顕微授精を行っても、受精が成立しないことがあります。そのような受精障害の原因の一つに、卵子または精子の活性化障害があります。これは、通常、卵子内に精子が侵入すると、精子が持つPLCζと呼ばれる卵活性化因子の作用で、卵子内のカルシウム濃度がパルス状に上昇し減数分裂が再開することで受精が成立します。しかし、ここに何らかの原因で支障があった場合には、未受精となります。そこで卵活性化障害が疑われる症例(過去の治療において全く受精しなかった、または受精率が極端に低かった、など)には、卵子活性化処理を行うことが可能です。 卵子活性化には、有効性が最も多く報告されているカルシウムイオノフォアという薬剤を使用します。

卵成熟促進処理

受精可能な成熟したMII卵子をより多く得ることは、妊娠の可能性を高くしますが、採卵後に採取された卵子の全てがMII卵子とは限りません。症例によっては、多く採卵できたとしてもMII卵子が少ない場合があります。
そこで、当クリニックでは、MII卵子の割合(成熟率)が少ない症例を予測する方法を開発し、成熟率が低いと予測された症例には、採卵後に卵子の成熟を促進するホルモンを培養液に加えることでより多くのMII卵子を獲得しています。卵成熟率の予測は、当クリニックが独自に開発した方法で、採卵のために注射したhCGが血中から卵胞液内にどの程度拡散しているかを計測することによって、卵巣における血流の状態を推測し卵成熟を予測します(Fertil Steril 1999)。つまり、血流が低下していると、卵胞への薬剤の効果が低く、卵成熟がうまく進行していないことが考えられます。

hCG拡散率が採卵数と受精卵数におよぼす影響

当クリニックの研究の結果、卵巣血流の低下がみられる症例に卵成熟促進処理を行うことで成熟率が改善し受精卵数が増加することがわかりました。

卵成熟促進処理後の卵成熟率

卵巣血流低下症例への卵成熟促進処理の効果
  卵成熟促進処理  
  なし あり P-value
採卵周期数 140 163 -
年齢※ 42.4±1.9 42.3±1.8 NS
採卵数※ 3.6±5.2 3.9±4.8 NS
受精卵数※ 2.1±3.3 2.8±3.6 0.078
※Values are means ± SD. NS:not significant

診療スケジュール
Schedule

完全予約制・初診は平日のみ

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