凍結融解胚移植が選ばれる理由。自然周期とホルモン補充周期、どちらがいい?

体外受精において、移植の成功率を左右するのは「胚(受精卵)の質」だけではありません。それを受け入れる「子宮内膜の環境」が整っているかどうかが極めて重要です。当院が推奨する「全胚凍結(すべての胚を一度凍結すること)」のメリットと、移植方法の選択について詳しく見ていきましょう。

1. なぜ「凍結融解胚移植」の方が妊娠率が高いのか?
現在、多くの専門クリニックで凍結融解胚移植が選ばれているのには、大きな理由が2つあります。

・子宮内膜の状態をベストに整えられる 採卵周期は、排卵誘発剤の影響でホルモン値が急激に変化しており、子宮内膜が受精卵を受け入れにくい状態になっていることがあります。一度凍結して次周期以降に戻すことで、内膜の状態を自然に近い、あるいは理想的な厚さに整えることができます。

・卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防 採卵後にそのまま妊娠すると、ホルモンの影響でOHSSが悪化し、母体に負担がかかるリスクがあります。凍結を選択することで、まずは母体の回復を優先し、安全な状態で移植に臨めます。


2. 「自然周期」と「ホルモン補充周期」の違いと選び方
凍結した胚を戻す際、子宮内膜を準備する方法には大きく分けて2通りあります。

● 自然周期(Natural Cycle)

ご自身の排卵リズムに合わせて移植日を決める方法です。

メリット: 薬の使用を最小限に抑えられ、体への負担が少ない。

デメリット: 排卵日を特定するために頻繁な通院が必要。排卵が不安定な方には不向き。

向いている方: 月経周期が安定しており、できるだけ自然な形を希望される方。

3. 当院のこだわり:個別化された「着床環境」の整備
アイブイエフ詠田クリニックでは、単にどちらかの方法を選ぶだけでなく、さらに一歩踏み込んだ「オーダーメイドの移植計画」を立てています。


JISART基準の凍結・融解技術: 凍結や融解による胚へのダメージを最小限に抑えるため、厳格な温度・品質管理を行っています。

着床の窓(ERA検査)の考慮: 何度移植しても着床しない場合、内膜が受精卵を受け入れるタイミング(着床の窓)がズレている可能性があります。当院では先進医療を含む精密な検査を組み合わせ、最適な移植時間を導き出します。

チームでのサポート: 医師・胚培養士に加え、看護師やカウンセラーがおふたりのライフスタイル(仕事の忙しさ等)を伺い、無理のないスケジュールを共に考えます。


最高のタイミングで、最高の一歩を。
「凍結すると受精卵が傷つかない?」という不安を抱かれる方もいらっしゃいますが、現在の凍結技術(ガラス化法)は非常に進化しており、そのリスクは極めて低くなっています。むしろ、子宮の環境を完璧に整えてから迎えることは、赤ちゃんへの最高のおもてなしです。全国から患者様が来院されるのは、こうした目に見えない「準備の精度」を私たちが追求し続けているからです。おふたりにとって、どちらの周期がより「安心」して臨めるか。診察室でじっくりとお話ししましょう。


アイブイエフ詠田クリニック
診療部長 詠田真由